大切な人たちを守る「遺言書」
「遺言書は必要ですか?」そんなご相談が増えています。遺言は自分の死後、相続人となる大切な人たちに争いのタネを残さない準備です。自分の残した遺産が原因で争いが起きてしまうことほど、悲しいことはありません。
遺言書は原則として満15歳に達した人であれば、誰でも作成することができます。遺言内容についても法的な決まりはなく自由に書くことができますが、論理的に不可能な内容については無効とされることもあります。
遺言作成には専門家のサポートをおすすめします
遺言書は作成者の思いを伝えるものでもありますが、一時の感情で書いたものや極端な内容の遺言は、かえって相続人の間でトラブルを生むこともあります。
自己の財産だけでなく、相続人の状況なども把握した上で、相続人に対してどのような意図で遺言を残したいのかを慎重に検討する必要がありますので、しっかりとした専門家のサポートを受けて作成されることをおすすめします。
遺言書作成についてよくあるご相談
・遺言書って必要?
・法律上有効な正しい遺言書を作成したい
・遺言の書き方がわからない
・遺言は自筆で書かなければいけないの?
・自分が遺言を作る場合、方式はどれが一番いい?
・遺言書の内容で法的に書いていけないことはある?
遺言書を残すべきケースとは
相続財産に不動産が含まれている場合
均等に分割しにくい不動産は、遺産分割協議でとくにトラブルになりやすい遺産のため、あらかじめ相続する相続人や配分を決めておくとよいでしょう。その際は相続税を払えるかなども含め、相続人の状況も把握しておく必要があります。
法定相続人が複数人いる場合
法定相続人が多ければ多いほど、また法定相続人同士の関係が悪かったり、複雑であったりするほど、遺産分割協議が難しくなることが予想されます。遺言であらかじめ遺産配分を決めておくとよいでしょう。
「配偶者と子どもたち」のほか、「未婚で子どももいない方で兄弟姉妹が複数人いる」場合や、「先妻や後妻との間に子どもがいる」、「認知していない子どもがいる」といった場合もこのケースに当てはまります。
法定相続人以外の人に財産を残したい場合
看護や介護でお世話になった人、経済的な支援をしてくれた人などに、感謝の気持ちを込めて相続財産を多く残したい場合。それらの人が法定相続人に含まれていない場合、遺言がなければ財産を残すことができません。甥や姪、孫も原則的には法定相続人には含まれていないため、同様と言えます。
相続させたくない相続人がいる場合
遺言では財産を渡したくない相手に、相続分をゼロに指定することが可能です。ただし、遺留分請求の権利のない被相続人の兄弟姉妹に対しては有効ですが、法定相続人については一切の財産を与えないことは困難ですが、遺留分の請求を防ぐための対策を取ることは可能です。
子どものいない夫婦の場合
配偶者はもちろん法定相続人ですが、子どもがいない場合は遺言書がなければ父母や兄弟姉妹にも相続の割合が発生します。例えば、妻に100%の遺産を残したい場合は、遺言書が有効な手段と言えるでしょう。
その他のケース
遺言を作成した方がいいケースではほかにも、遺産の配分を決めておきたい人、相続人に海外居住者がいる場合、株などの時価変動する資産が多い場合、不動産賃貸収入がある場合など、さまざまなケースがあります。
遺言書の種類
遺言書は、法律で作成の仕方が細かく定められています。遺言方式は大きく3つの種類がありますが、それぞれで形式的要件が異なるので作成には注意が必要です。
もし間違った方法で作成してしまった場合、その遺言は法律上何の効力も持たなくないものとなります。確実な効力を持つ遺言書作成については、弁護士などの専門家によるサポートをおすすめします。
自筆証明遺言書
最も簡易な遺言の方法です。「遺言者自身の手で書き」「押印する」だけで作成することができます。忘れてはならないのが作成年月日を記入すること。それがなければ、自筆証書遺言は無効になります。
この方法の最大のメリットは、簡単に作成することができて費用がかからないことです。遺言を書いたことを知られたくない人にもおすすめです。デメリットとしては、紛失してしまう可能性や死後に発見されない場合があることです。また。遺言書が発見されたときに、家庭裁判所の検認手続が必要となります。
公正証書遺言
公証人役場で作成する方法です。証人2人以上が立ち会い、遺言者が遺言内容を口頭で述べて、公証人がその内容を書き留めます。内容確認後に署名・押印をし、最後に公証人が署名・押印して完成します。公正証書の原本は公証役場に保管されます。
この方法では、公正証書遺言の原本を公証役場で保管してくれるため、紛失のおそれがないことが大きなメリットと言えます。家庭裁判所の検認手続も不要です。遺言内容を第三者に知られたくない人には向いていなく、数万円程度の費用を負担する必要があります。
秘密証書遺言
この方法では、遺言の内容を遺言者以外に知られることなく作成できます。遺言者は作成した遺言書を公正証書と同じ形で封印し、公証役場へ持参して公証人らの立会いのもとで手続きを経て完成します。
パソコンでの作成や代筆も可能ですが、秘密証書遺言の作成方法は法律で厳密に定められています。要件を一つでも欠くと無効になってしまうため、作成には注意が必要で費用と手間もかかります。また、この方法も家庭裁判所による検認が必要となります。
遺言執行者とは
遺言書の内容を実現することを「遺言の執行」といいます。遺言の執行を円滑に執り行うために、法律上「遺言執行者」を指定することができます。
遺言執行者は、未成年者と破産者以外であれば誰でも指定することができます。法人を指定したり、複数人を選任したり、予備の遺言執行者を選んでおくことも可能です。
弁護士を遺言執行者にするメリット
遺言執行者に就任すると、就任通知書を相続人へ送付することをはじめ、相続人全員の戸籍の収集や、相続財産の調査や目録の作成といったさまざまな手続きが生じます。
弁護士は、それらの手続きの専門家といえるため確実に対応できること、相続に関するすべて問題を取り扱うことができること、紛争にならないように予防することが可能です。最も大切な「遺言の内容を忠実かつ公平に実行できる」点は、最大のメリットと言えるでしょう。
遺言は何度でも作り直すことができます
人生の最後を考える「遺言」について、構え過ぎてしまう方も多くいらっしゃいますが、遺言は何度でも作り直すことができます。
最近では還暦や退職をきっかけに「遺言作成」のご相談に来られる方も増えています。大切な人たちの未来をトラブルから守るためにも、人生の節目節目で将来のことを考えてみてはいかがでしょう。
兒玉総合法律事務所では、遺言作成から遺言執行まで一貫したサポートを行っています。お気軽にご相談ください。
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